最新号
道路行政セミナー・9月号
ROAD ADMINISTRATION SEMINAR・2023 Sep
令和5年9月29日発行
INDEX
特集記事
道の駅30年の歩みとこれから
・・・一般社団法人全国道の駅連絡会
訴訟事例紹介
冠水したアンダーパスを自動車が走行したところ、浸水して走行不能になった事故について、国家賠償法2条1項に基づき損害賠償請求がなされた事例
・・・国土交通省 道路局 道路交通管理課
TOPICS
呉市管理「仁方隧道」の修繕代行事業について
・・・国土交通省 中国地方整備局 広島国道事務所
地域における道路行政に関する取組み事例
- 国道357号上部空間を活用したにぎわい創出について
・・・国土交通省 関東地方整備局 千葉国道事務所 - 主要地方道 長井飯豊線(大巻橋)橋梁災害
-応急組立橋による復旧で早期の通行再開-
・・・山形県 県土整備部 道路整備課 - 上山市における橋梁直営補修の取り組みについて
―継続的な橋梁維持管理を見据えた実証―
・・・山形県 上山市 建設課
特集記事
(PDF:1903KB)
一般社団法人全国道の駅連絡会
Point
道の駅は、1993年に登録・案内制度が創設されて30年が経過しました。道路の休憩施設としての機能を中心に全国103駅でスタートした道の駅は、2023年8月現在1,209駅と10倍以上に増加しています。本稿では、道の駅の30年の歩みやこれからの取組について紹介します。
訴訟事例紹介
冠水したアンダーパスを自動車が走行したところ、浸水して走行不能になった事故について、国家賠償法2条1項に基づき損害賠償請求がなされた事例
(令和3年7月16日和歌山地方裁判所民事部判決)
(PDF:272KB)
国土交通省 道路局 道路交通管理課
Point
【事案の概要】
冠水したアンダーパスを自動車が走行したところ、浸水して走行不能になった事故について、上記アンダーパスの設置・管理に瑕疵があるとして、国家賠償法2条1項に基づき損害賠償請求がなされた事例
(令和3年7月16日和歌山地方裁判所民事部判決)
【判決要旨】
争点1
・本件アンダーパスは通常有すべき安全性を欠き、排水ポンプが作動しなかったことから管理に瑕疵がある。
・被告は保守点検業者から、停電時に排水ポンプが作動しない可能性を指摘されていながら対応を怠っており、排水ポンプが作動していれば冠水は防ぐことができた。
・被告は、排水ポンプが動かなかった原因が不明であると主張するが、その原因は、排水ポンプの故障ではなく、停電時の電力供給ができなかったためである。
・また、被告は、未曾有の台風による風雨のため本件アンダーパスが冠水したと主張するが、本件事故当日の停電復旧後は排水ポンプは正常に稼働して排水できたのであるから、バッテリーの充電不足がなければ排水ポンプは作動しており、それが作動していれば本件アンダーパスの冠水は発生していなかったといえるから、被告の主張は採用することができない。
争点2
・(略)
争点3
・原告は、冠水部分につき、どれだけ深さがあるか分からなかったと供述するが、漫然と冠水部分に本件自動車を侵入させてしまったのであるから、原告にも過失があったということができ、その程度も軽くない。
・停電時の電源に関する管理の不備という本件道路の管理の瑕疵の内容や、被告の対応等を総合的に考慮すると、原告に生じた損害の4割を過失相殺とするのが相当である。
TOPICS
呉市管理「仁方隧道」の修繕代行事業について
(PDF:1221KB)
国土交通省 中国地方整備局 広島国道事務所
Point
広島県呉市の管理する仁方隧道(にがたずいどう)において、全国で初めてトンネルの直轄診断および修繕代行が行われました。仁方隧道は建設年次が古く、老朽化が進んでいる一方、建設当時の資料がいないことや既に行われている補修に関する資料もなく、トンネル損傷状況を評価し適切な対策を検討するには高度な技術力が必要な状況でありました。管理者の呉市からの要請をうけ中国地方整備局、国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人土木研究所で構成された「道路メンテナンス技術集団」により直轄診断が行われ、また、診断結果を受けて、呉市より修繕代行事業による補修実施の要請があり、広島国道事務所において対策検討および対策工事を行う事となりました。そして、令和5年2月に対策工事が完了しましたので、この補修の概要について報告します。
地域における道路行政に関する取組み事例
国道357号上部空間を活用したにぎわい創出について
(PDF:2583KB)
国土交通省 関東地方整備局 千葉国道事務所
Point
JR千葉駅や千葉みなと駅からのアクセスが良い国道357号の千葉市役所・千葉銀行本店前には、車道の地下化により全国的にも珍しい広い上部空間が創出されています。この上部空間をまちづくりやにぎわい創出に活用するため千葉市・千葉銀行・千葉国道事務所の3者が連携して行っている取組をご紹介します。
主要地方道 長井飯豊線(大巻橋)橋梁災害
-応急組立橋による復旧で早期の通行再開-
(PDF:4203KB)
山形県 県土整備部 道路整備課
Point
令和4年8月の大雨は、山形県内に大雨特別警報が発表されるなど甚大な被害をもたらした。この災害により被災した主要地方道長井飯豊線の大巻橋の復旧にあたり、国土交通省が保有する応急組立橋を活用し、早期の通行再開を実現した事例について紹介する。
上山市における橋梁直営補修の取り組みについて
―継続的な橋梁維持管理を見据えた実証―
(PDF:3844KB)
山形県 上山市 建設課
Point
上山市では、橋梁の損傷の進展を抑制し、危険性の回避、補修費の低減を図り、若手技術者の技術力向上を目的として、平成29年度より職員による橋梁直営補修の取り組みを進めております。
近年、橋梁維持管理を取り巻く現状は、高度経済成長期に集中的に建設され50年以上経過した橋梁の割合が急激に増えていくなか、小規模橋梁の補修が進まない状況であり、損傷が進展してしまう事が課題となっています。
本稿では、橋梁の直営補修の取組状況について御紹介します。
編集後記
今夏は、猛烈な暑さで身体がとても辛かったですが、ようやく秋の気配を感じられるようになってきました。この秋に行われるハーフマラソンの完走に向け、夏の間もランニングに励んでいたのですが、暑さが苦しい、「バテる」という感覚を知りました。
わたしたちの身体は、運動時、筋肉を動かすことで熱を生みだし、体温が上昇します。特に、気温や湿度が高いときは体温が上昇しやすくなり、疲れて動けなくなる「バテる」という感覚に見舞われることがあります。上昇した体温を一定に保とうと発汗するとともに、心拍数の上昇や皮膚血管の拡張によって身体の表面から熱を逃がす機能が働きます。しかしながら、体内の熱を上手に放出できないと、熱中症となってしまうことがあります。暑さに慣れていない夏の初めなどに熱中症が多いのは、体温の調節機能がうまく働いていないためです。対策として、暑さに身体を慣らす「暑熱順化」が推奨されています。暑熱順化とは、汗をかいて体温を下げやすくするトレーニングです。屋外にてウォーキングやランニングなどの運動をしなくとも、湯船に浸かることや、サウナに入って汗をかくことでも、暑熱順化は行えるようです。
暑熱順化では、心拍数の上昇や皮膚血管の拡張も機能するため、暑い環境下での運動において、発汗量が増えるだけではなく、血流量が増え、同じ運動強度でも心拍数が低下する(心肺機能の強化)という効果が得られるそうです。すなわち、夏にランニングを行うことで、涼しくなる秋以降、タイムの向上が図れるようなのです。
完走を目標としているものの、夏のランニングを経て、以前より早く走れるようになっているでしょうか。また、このような時にしか走ることができない道路の真ん中。多くのランナーが駆け抜けていく光景や、沿道の雰囲気など、道路をめぐるいろいろな景色を楽しみながら走りたいと思います。(U)
お問合せ窓口
(一財)道路新産業開発機構 松澤
TEL:03-5843-2911 Mail:RAseminar@hido.or.jp

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