道路都市再生部会
道路都市再生部会は、賛助会員であるゼネコン、建設コンサルタントとともに、時代に即した道路や都市などの社会インフラのあるべき姿や都市の活性化に向けた街・人・くらしの新たな仕組みについて議論を行う会議体です。以下のように概ね3年間でその時々の議論の総括を行い、自治体等に対して提言等を行っています。
平成15(2003)年~
平成15年からは、都市再生のために以下に示す様々な「垣根」を乗り越えることを基本方針に、“問題解決型”の議論だけでなく、「都市はどうあるべきか」「そのために道路整備はどうあるべきか」という観点から“価値創造型”の議論を重ね提言を行いました。
・公共(道路)と民間(建築物)の垣根(道路と隣接する民地内の建物を一体として捉える)
・道路事業と鉄道事業の垣根(鉄道上下空間の有効活用)
・利害関係者間の垣根(円滑な合意形成)
今後必要とされる道路機能については、都市の規模や属性に応じて施策の優先度や必要なサービスレベルが異なることから、
・「大都市中心部」(ケーススタディ:日本橋~東京(八重洲)~銀座~新橋・汐留)
・「大都市郊外」(ケーススタディ:浦和駅周辺)
・「地方都市」(ケーススタディ:宇都宮市)
の3つのカテゴリー(WG)に分かれて検討を行いました。
平成17(2005)年からは、質の高いと考えられる道路都市再生施策に対し、検討対象地やプロジェクトを選定し、ケーススタディを行い事業につなげるための具体的方策を提言しました。
・沿道建物と道路の一体整備(ケーススタディ:日本橋室町)
・再開発事業と公共バスターミナル整備の一体化(ケーススタディ:東京駅前(八重洲))
・鉄道上空空間を活用した公共道路施設の整備(ケーススタディ:柏駅周辺)
・中心市街地活性化の起爆剤となる総合道路デザイン制度(ケーススタディ:宇都宮駅前)
詳細については、以下をご覧ください。
・TRAFFIC&BUSINESS SPRING 2007 No.86 REPORT「スマートウェイパートナー会議道路都市再生部会(PhaseⅡの報告)」
・TRAFFIC&BUSINESS SUMMER 2008 No.91 REPORT「総合道路デザイン制度による地域主導のまちづくり」
平成20(2008)年~
平成20年からは、2016年に招致を目指していた東京オリンピックを契機とした道路都市再生施策の実現に向けて、以下の検討を行いました。
・交通システム検討 →銀座BRT・トランジットモール事業検討
・ターミナル拠点検討 →八重洲・新橋・浜松町ターミナル事業検討
・歩行者・自転車検討 →豊洲・晴海まちづくり事業検討
・地域活性化検討 →都市活性化検討(「暮らし創生ビジョン」検討)
「暮らし創生ビジョン」については、“環境”“高齢者”“産業育成”“人材育成”“暮らし”の切り口から検討を行い、途中WGの再編を行いアイデアを具体化しながら平成27(2015)年度頃まで継続して検討を行いました。
平成23(2011)年~
平成23年からは、首都圏における交通インフラ検討として、引き続き銀座BRTの走行ルートや事業採算性等について検討を行いました。また、平成23年3月に発生した東日本大震災を受け、当機構が積み上げてきたノウハウをもとに効果的な施策を提案し震災復興に役立てることを目的に、「震災復興・防災検討会」を設置し、被災地の早期復旧・復興に資する技術を参加者から募集・整理して、東北地方整備局への技術提案や、三陸自動車道等の新直轄道路における休憩施設の考え方の提案を行いました。
BRTの詳細については、平成26年度調査研究発表会資料「東京臨海部における都市型公共交通システム(BRT),道路と都市の一体的な再生方策」、震災復興・防災検討会の詳細については、平成24年度調査研究発表会資料「都市機能の再構築」をご覧ください。
平成25(2013)年~
平成25年には、国土強靭化戦略本部が内閣府に設置され、国土強靭化基本法案が国会に提出されたことから、国土強靭化をテーマに、「防災」「国際競争力」の2つの切り口から首都東京がどのような機能を持ち、どのように発展・維持していくことが良いかについて検討を行いました。
「防災」については、首都圏が大規模災害に直面することを想定し、
・幹線道路(命を守るための迅速な幹線道路機能の確保)
・交通結節点(交通トリアージによる交通結節点における混乱の低減)
・木造密集地域(地域に受け入れられる延焼遮断帯の提案)
の観点から助かった命をインフラ機能で守り通すことを目標に、交通機能や都市機能のリダンダンシーの確保に向けた必要インフラについて検討を行いました。
また、「国際競争力」については、東京オリンピック開催に向けて多くの外国人の来訪を想定し、
・環境・エネルギー(賢いエネルギー都市)
・観光・文化(「国際都市東京」にふさわしいIR)
・快適性・空間(東京の都市空間における“アソビ”の創出)
・移動(世界一移動ストレスの少ない都市、時間を大切にする都市)
の観点から施策を検討しました。
詳細については、以下をご覧ください。
・TRAFFIC&BUSINESS WINTER 2015 No.110 REPORT「道路都市再生部会成果(ナショナル・レジリエンスの幕開け)について」
・TRAFFIC&BUSINESS AUTUMN 2016 No.112 REPORT「道路都市再生部会成果(ナショナル・レジリエンスの幕開け)について」
平成28(2016)年~
平成28年からは、「次世代モビリティと道路空間」というテーマを掲げ、自動運転技術や多目的自動車といった次世代モビリティの利活用を見据えた未来の道路空間のあるべき姿について検討、議論を行いました。具体的には、道路に求められる新しい考え方を整理し、その実効性を高めるアイデアとして、「ゾーン」を単位とした道路空間整備を提案しました。
この考え方を、以下の具体的な都市空間に適用しつつ、各ゾーンに必要な機能やモビリティの使われ方や運用方法等を整理し、実現イメージを提示しました。
・都市再生(ケーススタディ:月島(小規模街区)、お台場(大規模街区)、池袋駅周辺)
・地方創生(ケーススタディ:静岡市や中山間部)
その後、提案内容を実現するため、従来の道路への新たな機能の追加ならびに時間的・空間的に道路の使い方を変化させられる仕組みとして「多目的道路」という位置付けの必要性を提言しました。
詳細については、以下をご覧ください。
・TRAFFIC&BUSINESS SPRING 2021 No.125特集
・道路都市再生部会活動報告(第62回土木計画学会発表資料 R2-11-13)(PDF:176KB)
令和6(2024)年~
令和6年度からは、昨今の社会背景である急激な人口減少や少子高齢化の本格化、それに伴う人手不足、物流の2024年問題、切迫する大規模地震災害等を踏まえ、新たな検討テーマとして「物流」「国土強靭化」「都市と地方の将来像」の3つのテーマを設定し、それぞれワーキンググループを立ち上げて検討を開始したところです。
詳細については、TRAFFIC&BUSINESS AUTUMN 2025 No.134特集をご覧ください。
